WAKO

高精細で鮮やかなカラー液晶ディスプレイを実現するポリマー技術

我々のチームは主に機能性ポリマーの開発に取り組んでいます。機能性ポリマーとは、高度な機能を持ち特殊な用途に使われる樹脂のことで、電子デバイスや人工臓器、医療用機器などへの応用が進んでいます。
最近の成果として、液晶パネルなどに使われるカラーフィルター用の高分子材料の開発に取り組みました。
カラーフィルターは、赤・緑・青の顔料と高分子材料などを混ぜたカラーレジストと呼ばれる樹脂をガラス基盤上に塗工し、露光、現像して正確なパターンを焼き付けて製造しますが、近年、ますますディスプレイの高精細化が進む中、より微細で精密なパターンの形成が要求されるようになっています。
カラーレジストには光により固まる成分が配合されており、露光部のみが固まり、未露光部は現像時に溶けて洗い流されることでパターンが形成されます。我々は、露光部がより固まりやすく、未露光部がより溶けやすくなるように高分子の設計を工夫しました。これにより、高精細に不可欠な超微細加工の要望に応えることができました。また、光の透過性の高い高分子を設計したことで、輝度の高い鮮やかな液晶ディスプレイを実現することにも貢献できたと考えています。

世の中のニーズに答えるため日々研究に打ち込む。

和光発の技術で世界をリードしていきたい

リチウムイオン電池など充電式電池の「バインダー」にも注力しています。リチウムイオン電池の負極には通常黒鉛が使われますが、これをシリコンに置き換えられないかという研究が世界的に進められています。完全に置き換えられれば充電容量が約10倍に増えると期待されていますが、問題は、充電時にシリコンの体積が約4倍に膨らみ、放電すると縮むこと。繰り返しているうちに急速にシリコンが砕けていくので、耐久性が大きな課題。実際、黒鉛のすべてをシリコンに置き換えたものは、まだ実用化されておりません。そこで私たちが開発しているのが、ポリマーの分子同士をつなぎあわせて、網の目にしたバインダー。これをシリコン粒子の回りにネットのようにかけることでシリコンの崩壊を抑え込むことができます。
このバインダーは、大学との共同研究により開発したもので、今、電池メーカーなどに提案しているところです。実用化にはまだ課題もあり、これから高分子がどういうところに配置され、長期の充放電時にどう変化するのかなどを詳しく検証していき、近い将来には実用化し、この分野で世界をリードするような製品を生み出させればと思っています。

手前のグレーの材料がシリコン系負極。電池の充電量を大幅にあげる研究が進められている。

有機合成力を生かしてこれまでにない用途を発掘したい

和光純薬は有機合成を得意としており、特殊なモノマーも独自に開発しています。例えば、染料に重合性基をつけた重合性染料です。着色剤には顔料と染料がありますが、顔料は溶剤等には溶解しません。例えば樹脂に練り込んだ場合、得られた着色樹脂は透明性に欠けるという難点があります。一方、染料は溶媒等に溶解するため樹脂に混ぜ込んだ場合に透明性が高い着色樹脂が得られますが、着色樹脂から染料が染み出してくるといった問題があります。重合性染料は化学結合で樹脂に結合するため染料の染み出しがほとんどなく、透明性の高い鮮やかな着色樹脂が得られます。ポリプロピレンは耐薬品性の高い樹脂ですが、染料で着色したものは薬品にさらされると色が染み出します。重合性染料を使うと透明度の高い着色されたポリプロピレンが得られ薬品による色の染み出しがありません。このような材料はこれまでになく、化粧品のボトルなどの用途に適しているのではないかと考えております。

化学結合で着色した樹脂。色の染み出しがない。

ポリマーへの理解を深め効率的な開発を目指す

ポリマーの合成では原料、反応条件、加工法のちょっとした違いでまったく違うものができあがります。これらをすべてコントロールするのは非常に難しく、これまでは長年の経験や勘に頼って正解に至るということが多かったのも事実です。しかし、これからは効率化も大切な視点になります。試行錯誤を繰り返して求められる機能に至るのではなく、できあがったポリマーの複雑な構造への理解を深め、そこから逆算して材料となるモノマーの選択や製造工程を設計していく。いわばポリマーのデザイン力を高めることが、私たち開発陣に任された大きなミッション。大学など研究機関とも手を携えて、世の中のニーズを先取りした提案ができるような開発を目指しています。

「得意の有機合成を生かして、これまでにないポリマーを生み出したいですね。」