WAKO

2009年12月3日 マイクロRNAの標的mRNA研究用試薬キット
「ターゲットmRNAクローニングキットワコー」を発売
―標的mRNAのスクリーニングを可能にした画期的な試薬キット―

和光純薬工業株式会社(本社: 大阪市中央区 社長 松本隆男 以下、和光純薬工業)は、がんをはじめとする様々な疾病との関係が報告されている「マイクロRNA(注1)」の研究用試薬である「ターゲットmRNAクローニングキットワコー」をこのたび発売いたします。

マイクロRNAは、タンパク質をコードしないRNA群の一種として分類されている約22塩基からなる低分子RNAです。マイクロRNAの主な機能として、細胞内でDNAからメッセンジャーRNA(mRNA)などを介しタンパク質への翻訳を経て細胞や組織に分化する過程で、mRNAに結合しタンパク質翻訳を抑制することが知られています。

マイクロRNA研究は米国を中心とする諸外国において急速に進展しています。特に発生に関わる細胞分化や、生体器官のガン化などとの関連性が報告されており、マイクロRNA研究用試薬の市場は国内外で拡大しています。また、マイクロRNAが細胞内でどのような働きをしているのかという機能を解析する上で、マイクロRNAがどのようなmRNAと結合しているのかといったことに大きな関心が寄せられています。

このような背景を受け、和光純薬工業ではマイクロRNA研究用試薬の需要拡大を見込んでおり、世界市場においても特長がある独自の開発技術をコアにし、マイクロRNA研究用試薬の積極的なラインアップを推進しています。
特にユニークな試薬として、細胞内でマイクロRNAの運搬を担っているタンパク質「Argonaute(略称Ago)」に対する「抗Agoモノクローナル抗体(注2)」(Ago1, Ago2, Ago3)を独自に開発し、これらの抗体を用いた免疫沈降法(注3)により細胞から簡便かつ高効率にマイクロRNAを精製できる「マイクロRNAアイソレーションキット」をシリーズ化して います。「マイクロRNAアイソレーションキット」は、細胞内のマイクロRNAの精製と同時に、マイクロRNAが相互作用している標的mRNAも取得できます。

このたび発売いたしました「ターゲットmRNAクローニング(注4)キットワコー」は、上記の既に販売している「マイクロRNAアイソレーションキット」と併用することで、独自のcDNA合成技術により鋳型RNA鎖長に依存せずに標的mRNAをcDNAに増幅できるキットです。この両キットの併用によって、データベース予測ではない分子生物学的なアプローチで効率的に標的mRNAのスクリーニングが可能になりました。これにより、本キットがガン化や細胞分化に重要な役割を持つマイクロRNAの機能解析の進展に寄与することが期待されます。

従来の標的mRNA同定法は、TargetScanなどのデータベースからマイクロRNAの配列情報に基づいて標的mRNAを予測する手法が主流でしたが、この従来法では、一種類のマイクロRNAに対して数十~百種類以上のmRNAが標的候補として予測され、真の標的mRNAのスクリーニングには大変なコストと労力が必要としました。

今後、和光純薬工業では、Agoファミリータンパク質に対する抗体の品揃えを中心にマイクロRNA研究用試薬の開発を推進し、積極的な販売活動を国内外で展開いたします。

なお、12月9日~12日の会期で横浜にて開催される第32回日本分子生物学会年会のバイオテクノロジーセミナー(場所 パシフィコ横浜・会議センター)にて、本キットの製品概要と最先端のマイクロRNA研究動向を紹介致します。

【商品名】 ターゲットmRNAクローニングキットワコー
  (60,000円, 10回用)

商品外装(見本) ※クリックで画像拡大
商品外装(見本)

注釈

注1 マイクロRNA
マイクロRNAは、約22塩基からなる一群の機能性低分子RNAです。ヒト、マウスをはじめ様々な生物種で数十から数百種類が同定されており、発生に関わる細胞分化や、生体器官のガン化などに深く関わっていることが報告されています。
マイクロRNA研究は、近年米国を初めとする諸外国で急速に進展している研究分野であり、機能未知の新規マイクロRNAの同定、機能解明が進められています。また、ヒトやマウスでは千種類以上のマイクロRNAの存在が示唆されています。

注2 抗体
抗体(こうたい、antibody)とは、特定のタンパク質などの分子(抗原)を認識して結合する働きをもつ。抗体は主に血液中や体液中に存在し、例えば、体内に侵入してきた細菌・ウイルスなどの微生物や、微生物に感染した細胞を抗原として認識して結合する。抗体が抗原へ結合すると、その抗原と抗体の複合体を白血球やマクロファージといった食細胞が認識・貪食して体内から除去するように作用する、あるいはリンパ球などの免疫細胞が結合して免疫反応を引き起こすという作用がある。これらの働きを通じて、脊椎動物の感染防御機構において重要な役割を担っている。

注3 免疫沈降法
免疫沈降法(めんえきちんこうほう)とは、免疫反応(抗原と抗体が特異的に結合する反応)を利用して抗原を検出・分離・精製する、生化学の実験手法のこと。実験室では免疫沈降という略称で呼ばれることもある。

注4 クローニング
遺伝情報を司っているDNAおよびRNAから、「研究対象とする必要な情報が含まれる部分」を、分子生物学的手法(PCR法など)によりDNAとして取り出し、遺伝子の運び屋として働く別のDNA(ベクターと呼ばれる)に連結(この連結反応をライゲーション反応という)する。このようにして出来たDNAを大腸菌内で増やして、「研究対象とする必要な情報が含まれる部分」についていつでも研究できるようにすること。

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